小林 由美(こばやし・ゆみ)
ライター、編集者。町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験。後、大手メディアの編集記者として約12年間、技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。2020年5月に個人事業 facetとして独立。
製品上市を多角的にサポートする 出光・エンプラ技術グループのCAEチーム
2026年07月22日
コラム

製造業のビジネスは、モノ売りからコト売りにシフトしてきていると思います。自動車もSDV化する中で、そのような方向性がどんどん色濃くなっていますね。
出光興産は、SPSをはじめとするエンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)を開発・供給する素材メーカーであると同時に、それをご採用いただくメーカーさまの設計段階から入り込んで支援する立ち回りにも特色があります。
その中核を担うのが、出光興産 先進マテリアルカンパニー機能化学品部 機能材料研究所です。触媒・合成・材料設計・コンパウンド・実用評価といった長年蓄積した技術を基盤に、エンプラ、粘接着基材・液状ゴムなどの機能化学品、機能性コート材など提供しています。
材料の開発・提供に加え、CAEによる設計支援、流動解析、そり・応力解析などの技術サポートで顧客の製品化プロセスも支援します。
千葉県市原市にある機能材料研究所には、オープンラボとなっている開発サイトが併設されており、射出成形機や実用評価設備などを備えています。ここでは、お客さまと一緒に成形トライや各種評価を行うなど、お客さまと連携した共創によるモノづくりが進められています。

出光・エンプラ技術グループのCAEチーム
CAEチームは、お客さまである製品メーカーの製品上市を多角的にサポートし、スムーズな材料納入へとつなげることが主なミッションです。
出光が提供するエンプラは、自動車、工業製品、家電、日用品など多岐にわたる分野で採用されており、いずれも寸法精度、力学特性、耐久性などの面で厳しい要求仕様を満たす必要があります。
そのため、CAEチームは材料の高性能化を前提としつつ、顧客の製品に対する形状設計の提案、性能予測、成形加工時の不具合予防など、設計・解析面からの支援を行っています。
近年、CAEチームには軽量で耐熱・耐薬品・電気特性に優れるSPS適用の相談が、自動車や家電のトップメーカーを中心に増えています。他の素材からSPSへ変更する場合に、部品設計の仕方や、成形加工シミュレーションについての相談もよくあります。

解析での支援とAI活用のイメージ
CAEシミュレーションを用いた製品設計および製造支援技術
出光が展開するCAEシミュレーションは、製品開発の初期段階から量産に至る各プロセスで活用できる技術を取り入れています。
・成形加工シミュレーション
金型内の樹脂流動や取出し後の成形品の状態を解析し、ショートショット、意匠面のウェルドライン、ジェッティング(樹脂の蛇行)等の充填不良や、反り、ヒケ、ヤケなどの外観不良・成形不良の発生要因を検討します。これに基づき、最適なゲート位置の探索や、スプルーやランナーの設計、肉厚の調整案などを提示しています。
・構造・力学・熱解析
金属部品のインサート成形後の残留応力を考慮、さらにそこからヒートショックによる熱応力が掛かる部品のワレ予防、適正なスナップフィット設計やネジ締め付けトルクのご提案などを行います。

また、LED電球の冷却フィン形状の検討に向けた伝熱解析や、ポンプ内部のインペラの流体解析による効率改善など、熱流体解析にも対応しています。


・光学ひずみの低減
製品内の複屈折などの光学的なひずみを予測し、それを低減させる成形条件の最適化も行うことができます。
・AI(機械学習)の活用
樹脂温度、金型温度、保圧力などの成形条件パラメータの組合せは膨大なため、最適化にはデータサイエンスを活用します。機械学習・ベイズ最適化が可能な内製のソフトウェアとCAEを組み合わせて、目標性能に到達する条件を最短で導出します。さらに導出された条件候補をもとに、成形技能士が物性への寄与度や実現性を確認し、最終的なお客様への提案内容を決定します。

(次回へ続く)
【CAEチームよりご案内】
①無料CAEクイック診断
CAEチームが提供する射出成形の簡易シミュレーションです。ご検討中の樹脂製品について、SPSが問題なく金型内へ充填されるか、取出し後に大きく反らないかなどを、まずは簡易CAEで診断してレポートします。
本サービスは無償でご利用いただけます。
CAEクイック診断やCAEチームについてのお問い合わせは、以下からお願いします。
②SPS×CAE事例集
CAEチームの解析レパートリーを示す事例集です。以下よりぜひダウンロードしてください。

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