SPS樹脂とは
SPSとはシンジオタクチックポリスチレン(Syndiotactic Polystyrene)の略称で、出光興産㈱が1985年にメタロセン触媒を用いて世界で初めて合成に成功した結晶性ポリスチレンです。
工業化に向けた触媒改良、プロセス開発、コンパウンド材料開発を経て、エンジニアリングプラスチックとして1996年に商品名「XAREC™️」として製造販売が開始されました。
ポリスチレンの種類
SPSは化学構造的には通常の汎用ポリスチレン(非晶性、アタクチックポリスチレン)と同じですが、シンジオタクチック構造と呼ばれる高い立体規則性を有しています。結晶化速度が非常に遅く工業生産化が難しいとされたアイソタクチックポリスチレンに対して、実用レベルの結晶化速度を有する結晶性樹脂です。
SPSの結晶化による新規特性の発現
SPSの特性はポリアミド系樹脂(PA66:ナイロン66)、PA6T(芳香族ナイロン)やポリエステル系樹脂(PBT:ポリブチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)などの縮合系エンジニアリングプラスチックとは大きく異なります。
これはSPSが極性基を持たないポリスチレン骨格としていることと結晶性を有するという2点に由来しています。
▶ポリスチレン骨格の観点から
低比重、耐加水分解性、良成形性、良電気特性などの良好な特性を受け継いでいます。
▶結晶性を有する
優れた耐熱性(融点270℃)と耐薬品性の大幅な向上が発現しています。
XAREC™️(SPS)の特徴
XAREC™️(SPS)は、軽量で耐熱性、耐加水分解性、誘電特性、寸法安定性、耐薬品性に優れていることから、自動車や家電、日用品など様々な分野で活躍しています。
それぞれの特徴の詳細や、他のプラスチックとの比較データについては、資料中の該当ページをご確認ください。
・耐熱性(26ページ)
・耐熱水・耐スチーム性(28ページ)
・低比重(25ページ)
・電気特性(29・30ページ)
・寸法安定性(32ページ)
・耐薬品性(27ページ)
資料は下記のボタンからダウンロードすることが可能です。
主な用途分野
XAREC™(SPS)の特性を生かした用途開発が進んでおり、これまでに自動車分野、家電・日用品分野、電気・電子分野、押出・フィルム分野、高速通信分野などへの導入実績があります。
自動車用途の詳細は、下記リンクから資料をダウンロードしてご確認ください。
▶︎出光興産概要とSPS事業のご説明(17ページ)
▶︎コネクタ要求特性への適合
▶︎サーマルマネジメント部品への挑戦
▶︎厳環境下向け高電圧部品への挑戦
日用品や家電用途の詳細は、下記リンクから資料をダウンロードしてご確認ください。