
高原忠良(たかはら・ただよし)
2020 年にTech―T設立。
「現地現物」の精神で部品分解調査や、中国・東南アジア現地取材をもとに、⾃動⾞産業の将来動向まで多領域で情報発信中。
プラスチックや樹脂部品生産や材料の生産・開発に携わる自動車用途プラスチックの第一人者。
1980 年、山形大学理学部卒。2008 年、山形大学理工学研究科卒(工学博士)。
1980~1989 年、新日本無線(現:日清紡マイクロデバイス)。
1989~2012 年、トヨタ自動車。
2012~2018 年、サムスンSDIなどグローバル企業で勤務。
2017-2025年、埼玉工業大学 客員教授など産学両分野で活躍。
セミナー・メーカー支援・中国視察ツアー・日経クロステックへの寄稿など幅広く活躍中。ホームページでも各種調査情報を元に、記事や動画を多数掲載
https://www.tech-t.jp/
気になります、EU ELV新規則。もっと気になる中国の動向:ティータイム
2026年08月05日
コラム

本コラム「ティータイム」では、「自動車×プラスチック×脱炭素」を中核に活動するコンサルティング会社・Tech-T の高原忠良が、自動車関連の技術やビジネスの話題をお届けします。
新車製造時に再生材使用が義務付けられるということで、我々プラスチック関係者の大きな関心ごととなっています。
現在の規則案を確認し日本での取り組み状況をまとめます。さらに、昨今常に気になる中国の動向調査も簡単にご報告いたします。
EU ELV新規則の現状
2026年6月に、欧州議会・EU理事会の承認を得て、7月24日にEU規則(Regulation (EU) 2026/1738)として公布されました。2032年9月より新車の樹脂材料のうちの15%以上に再生材を使用することが義務化されます。再生材の義務量および適用時期を表1にまとめました。

(表1)
大きな特徴は、以下です。
- 二輪から大型トラックまでほぼすべてのモビリティが対象
- 車両循環パスポート(DPP概念の自動車分野への展開)の導入
- 生産者責任の強化(拡大生産者責任:EPR)
- ポストコンシューマーリサイクル(PCR)由来プラスチックの使用義務化
業界にとっても影響が大きいところで、以下に示すような各種の取り組みが進められています。
日本での取り組み状況
モビリティと合成樹脂の各カテゴリーが時には産業クラスター的に多面的に取り組んでいます。カテゴリーを列挙すると
- 樹脂材料メーカー
- 完成車メーカー
- リサイクラー等の再生材エコシステム、昨今はやりの表現で静脈産業
- 各種業界団体
- 大学および国の行政機関(環境省、経済産業省など)
私が特に注目している活動は、「産学官連携」の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「サーキュラーエコノミーシステムの構築」です。
定期的に進度状況が報告され、再生材を活用した自動車部品も展示されています。写真1・2は、2025年2月と2026年1月の報告会の際の展示サンプルです。
適用されている部品が広がっているとともに、再生材の元となる使用済み樹脂製品も拡大しており、さらには、再生材の使用率も向上しており、確実に進歩しています。
2025年2月展示から

(写真1)(左)豊田合成によるグラブボックス品質評価サンプル
2026年1月展示から

(写真2ー1)豊田合成によるロアグリル成形サンプル

(写真2ー2)サカエ理研によるドアモール成形サンプル
急速に進化する中国
中国の電気自動車(BEV)は破竹の勢いで拡大しているように見受けられます。中国国内での販売の急増とともに、東南アジア・南アメリカ・ヨーロッパへの輸出も拡大しています。昨年11月に、中国の自動車産業の現状視察プログラムを主催しました。
写真3はその際に訪問した、スマホ企業シャオミのショップです。スマホやデジタル家電とともに電気自動車(BEV)を一体的に販売していました。既にBEVを取り巻く構図は大きく変わっており、今やIT系企業が主軸となりけん引する絵姿へと変わりつつあります。
この辺りは、次回報告したいと思います。

(写真3)
余談ですが、写真4は自動車産業クラスター地区にあるホテルのレストランにて撮影したものです。ナイフやフォークの一端が工具となってます。

(写真4)自動車産業クラスター地区にあるホテルのレストランにて
なお、視察の結果は、以下で簡単に報告していますので、ご興味ある方は併せてご参照ください。
【結果概要】2025年11月 視察プログラム『中国自動車産業』
中国のELVの動向が気になる
破竹の勢いのBEVの実績から、EU ELV新規則に対しても、独自の対応戦略や中国独自のELV規則化などが想定されます。中国におけるELV周辺動向が気になるところです。この分野は、ある部分は競合となりますが、企業の組み合わせによっては協業の芽もあるものと考えています。例えば、材料メーカーと部品メーカー、再生材企業と日本各企業には協業の可能性も見いだされるところです。
中国は以前からプラスチック製造量で世界でトップでしたが、BEVの生産台数も世界TOPとなったところです。プラスチックとBEVの組み合わせは、まさにEUのELV新規則の分野です。中国企業がどのような戦略に出るのか、中国独自の法制化が進むのか、気になると事です。
プロフィール
【筆者からお知らせ】
今回のコラムで触れた、競合や協業について、まとまった情報が見当たらないと考えていたところで、Tech-Tと中国の専門家にて共同で詳細を調査しました。調査した企業群とその比較評価のイメージを表2で紹介します。
7月初めに発刊したところですので、よろしければ、ぜひ、参考になさってください。
【発刊案内】中国ELV関連政策・法制 調査レポート 2026
【発刊案内】中国 自動車用再生樹脂・ELV関連企業 最新情報 2026 
