
中嶋嘉祐(なかしま よしひろ) フリーランス。理系学生向けの就職情報メディア『理系ナビ』の初代編集長。転職情報ポータル『キャリアインデックス転職』のWebプロデューサーを務めた後、独立。オウンドメディアの新規立ち上げ/運用請負、ライティング/編集、コンテンツマーケティング支援などを生業にしております。>>企業サイト
ゴムボールはもう古い? 週末パパが感動した空気が抜けない「プラボール」の実力:このプラスチックなしには
2025年12月24日
コラム

ここ数年、「自動運転」「EV」といったモビリティの話題が紙面を賑わせていますが、私たちの生活のもっと身近なところでも、大げさに言うと”素材革命”とも呼べる変化が起きていたのかもしれません――「このプラスチックなしには」では、身近な生活の中で垣間見た「素材のすごさ」について、技術系Webプロデューサー、そして2児のパパである筆者があれこれ語ります。
今回は、45歳・2児の父である筆者が、週末の子育てを通じて感じた「ボールの進化」と「プラスチックの可能性」について、少しだけ専門的な視点を交えてお話ししたいと思います。
週末、重い腰を上げて公園へ向かう……
私は中日ドラゴンズを愛して40年弱になる生粋の竜党です。しかし、自分自身が野球少年だったわけではなく、運動はからっきし。休日は家で仕事をしていたい仕事人間ですが、7歳の長男と2歳の次男という怪獣たちがそれを許してくれません。
特に長男は、あの大谷翔平選手に憧れて野球にのめり込んでいます。「パパ、野球しよう!」と目を輝かせて言われれば、嫌々ながらも重い腰を上げざるを得ません。そうして週末にはママと日替わりで、近所の公園で長男のバッティング練習の相手をするのが日課となりました。

座り仕事になりがちだもんね、この仕事。運動不足解消にもなっていいのかも?
気になっていたゴムボールの欠点
長男と野球をやるようになったのは、2年くらい前のことだったでしょうか。当時、保育園の年中だった長男の安全面を考慮して、中に綿が入った大きめのコットンボールを使っていました。これなら当たっても痛くありません。しかし、バットで叩いても「ボフッ」という鈍い音とともに失速し、全く飛びません。長男が上達してボールにバットが当たるようになってくると物足りなくなってきました。
そこで導入したのが、定番のゴムボールでした。100円ショップやおもちゃ売り場でよく見かける空気が入ったあのボールです。飛びも良く、野球らしくはなったのですが、新たな悩みが出てきました。
まず、表面がすぐに汚れます。ゴム特有の粘着性(タック)があるため、砂や土埃が吸着してしまうのです。そして最大の問題は、へたりです。遊んでいるうちに空気が抜け、バットで打ったときの飛びが悪くなるように感じていました。
こんなことでは、せっかく野球に目覚めた子どもたちのやる気が、なえてしまうかもしれない……!
我が家の救世主となった、アレ
そんなある日、ゴムボールを買い替えるつもりで立ち寄った100円ショップで、ふと目に留まったボールがありました。野球ボールと同じくらいの大きさのサッカーボールです。手にすると袋越しにしっかりと押し返してくる手応えがありました。
プラスチック製のボールといえば、外側のシェルだけが硬く、中が空洞のものを想像するかもしれません。昔ながらのカラーボールや、穴の空いた練習球などが該当すると思います。しかし私が手にしたのは、中まで発泡ウレタンで成形されたスポンジタイプのボールでした。
使ってみると、これが実に具合が良いのです。まず、表面がサラッとしていて汚れが付きにくい。そして中実(ソリッド)構造なので、空気が抜けてへたることがありません。硬質プラスチックのような割れる心配もなく、バットで捉えたときの感触もゴムよりしっかりしており、打ち抜いた感覚が心地よく、程よく飛んでいくように感じます。
今ではこのボール以外のボールを使うことなんて、考えられません。わが家の週末に欠かせない相棒となりました。

筆者が実際に使用しているボール
素材の物性から見るボールの違い
さてここで、ゴムボール、ウレタンフォームボール、柔らかボールの違いを物性の観点から見ていきます。なぜウレタンフォームのボールがこれほど使いやすかったのか、データ的な視点で紐解いてみます。
まず反発弾性です。「よく飛ぶボール」にとっては最も重要な物性です。
1つ目は、プラスチック製の皮で覆われていて、中に綿が詰まったタイプのボールです。一体、何と呼んだらいいのか分からないので、「柔らかボール」とします(他のも柔らかいので悩ましいのですが……)。繊維の間に隙間を含んでいるため、弾性が低くなり、衝撃エネルギーを吸収してしまいます。そのため、叩いても力が逃げてしまってよく飛びません。
ゴムボールは、天然ゴムや合成ゴムのものがあります。ゴムなので、当然、弾性が高いわけですが、中空の場合、弾み具合は内圧にも依存します。ゴムにはガス透過性があるため、時間が経つと空気が少しずつ抜けていって内圧が下がり、徐々に反発力が失われていきます。
ウレタンフォーム(ポリウレタン、PA)のボールは、 無数の気泡(フォーム)を閉じ込めた独立気泡構造が特徴です。微細な気泡がバネの役割を果たし、加わった衝撃をロスなく跳ね返す高い反発弾性を発揮します。ゴムのような内圧ではなく素材自身の密度により反発するため、長期にわたりヘタることのない、力強い弾力を維持します。
次に表面特性と耐候性です。
柔らかボールは、繊維の隙間に泥や水分が入り込むため、汚れが表面に留まらず内部へ浸透してしまいます。拭き取るだけでは汚れが落ちず、洗濯乾燥が必要です。また、吸水性が高いため、濡れたまま放置するとカビや腐敗の原因となり、衛生状態や強度を保つのが難しい素材です。
ゴムボールは、一般的に摩擦係数が高く、表面エネルギーの関係で汚れを吸着しやすい性質があります。また、ゴムは、長期間、屋外に放置していると紫外線や雨風による劣化(クラック発生など)が起こることがあります。
ウレタンフォームのボールは、加水分解の懸念はあるものの、週末の公園遊び程度であれば、ゴムのようなベタつきや急激な劣化を感じることなく使い続けられます。
最後に構造や強度の面です。
柔らかボールは、柔らかい繊維の集合体であるため、衝撃を受けても割れやパンクは起こり得ません。しかし、強い力が加わると繊維が圧縮されたままになり、強引に形を戻さないかぎり、そのまま変形してしまい、だんだんきれいな球形に戻りづらくなります。
ゴムボールは、柔軟性が高く、衝撃を受け流すため割れは起きませんが、強度は薄いゴム膜に依存しています。鋭利なものによる突き刺しや摩耗に弱く、1度穴が開けば、内圧がゼロになるパンクのリスクが避けられません。
ウレタンフォームのボールは、多孔質な構造で、衝撃を分散・吸収しつつ反発します。踏んでも潰れても元に戻る復元性があり、もちろん割れる心配もパンクする心配もありません。
たかがボール、されどプラスチック。
こうして比較してみると、私が偶然手にしたウレタンフォームのボールは、まさに「公園遊びの最適解」と言える特性を備えていたと言えるのではないでしょうか。
かつては「安っぽい」「すぐ割れる」というイメージもあったプラスチック製品ですが、発泡技術や素材の配合技術の進化により、ゴムの柔軟性とプラスチックの耐久性をいいとこ取りしたような製品が、しかも100円ショップで手に入る時代になったのです。
息子が投げたボールに対してパパが大人げなくフルスイングしてボールを茂みに打ち込んでしまい行方不明になるたびに、私はまたあの100円ショップへ足を運びます。「またなくすから、ついでにもう1個買っておこう」と、同じプラスチックボールを何個もカゴに入れるのでしょう。なんなら、クリスマスプレセントもこれで行くか!(え?)
「幼児と遊ぶならゴムボール」というのはもう過去の話。これからは、メンテナンスフリーで高性能なプラスチックボールが、パパ・ママの強い味方になってくれるはずです。
私たちの身の回りには、気づかないうちに素材が進化し、便利になっているものがまだまだたくさんあります。プラスチックの持つ無限の可能性、また日常生活の中で「おっ!」と思うアイテムを見つけたら、皆様にご報告したいと思います。
とりあえず先週末は長男と野球をしたので、今週末はかわいい盛りの次男を公園へ連れて、○○○○マンのゴムボールを転がして遊んでこようと思います。
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