マーブル色調食器を開発してみた――射出成形でオンリーワンの色・模様を作ろう!

2026年03月11日

コラム



⁠出光興産の「ひらめき開発室」、はじまりますよ!

本連載「出光のピカっと!ひらめき開発室」では、出光興産で、普段行っているさまざまな開発案件の裏側をこっそりお届けしていきます。成功ばかりではありませんが、「出光、こんなこともしているのね……」ということをお伝えできればと思います。

ところで食器と言えば、昔から使われているのは陶器や磁器。釉薬のかかり具合や素材によってもたらされる自然な風合いは、同じように製作しても全く同じものは2つとありません。

一方で、射出成形で作られる食器は均一で単調な色調が一般的です。工業製品として、均一さは魅力の1つではありますが、やはりちょっぴりチープさと、無個性感が出るのは否めません。また、樹脂製食器では複雑な模様や混ざり合ったようなカラーを再現するためには、塗装やフィルム貼付などの2次工程が必要となります。

ですが、軽くて割れにくい樹脂製食器で、陶器のような自然なマーブル色調が再現できたら素敵なのでは?

今は韓国風のちょっとレトロでポップな色合い、北欧風の自然なテイストと明るく優しいカラーが人気ですよね。いつものごはんも素敵な食器で彩れば、SNS映え、万バズ間違いなし! というわけで、ひらめき開発室では樹脂マーブル色調が再現できないかチャレンジです。

PP×木粉でマーブル色調を再現

まずはSPS樹脂の前に、一般的に食器によく利用されるポリプロピレン(PP)に木粉をドライブレンドして成形してみました。木粉は木の香りもさることながら、自然な風合

いが高級感をもたらしてくれるはず。

すると成形条件によっては見事なマーブル模様が出現!!

これに気を良くしたわれわれ。SPS樹脂でのマーブル模様に挑戦です。ただし、木粉は成形温度が違いすぎるため使用できません。でも木粉でできたのなら、顔料MB(マスターバッチ)を使えば簡単にできそうな気がします。

SPS顔料×MB――成形条件でマーブルは出るかな?

成形技術者ならば、顔料の攪拌不足で微妙に色の濃淡が出てしまったり、マーブル模様が出てしまった経験が1度はあるはず……。今回はそれを意図的にやってみましょう。

用意した樹脂はSPS樹脂のなかでも、SW130というガラス繊維などでの強化はされていない食器に使用できるグレードです。ドライカラーだと溶けて混ざり合ってしまうので、あえてのMBです。

しっかり混ざり合わないように、シリンダー温度設定、射出圧力、速度、背圧、スクリュー回転数などを調節します。

成形機は150トン、PP専用の1個取り金型を使用しました。金型温度は130℃、樹脂温度290℃です。通常のPPですと樹脂温度は180~230℃くらいですので、SPSは結構高めです。

うーん……なかなか思ったように最適な成形条件は出せません。狙ってないときは出るのに、狙おうと思うと出ない不思議。不良の再現でもよくあるこの現象。名前はあるんでしょうか。

マーブルの調整も難しいです。通常の成形機、顔料だけではマーブル模様は難しいようです。

SPSと相分離する顔料MBで直接成形してみる

顔料もいろいろと変えてチャレンジしてみることに。SPS樹脂とは分離しやすい顔料をセレクトし、プリブレンドしたものを直接シリンダーに投入して成形します。

お、これはちょっとだけマーブル模様ができているのではないでしょうか。でもでも、マーブルっぽい色調が出たのは赤顔料1%+白顔料4%だけ。いろいろなカラーの顔料で試してみましたが、全然安定しません!他のカラーでも再現しない!だめだこりゃ~~!!

今回、いろんな顔料で何度もチャレンジしてみたのですが、思うような結果は出ませんでした……残念! 普通の成形機では難しいのかもしれません。でもこれしきでは諦めません。出光興産だけど降参はしません!次は成形機を変えてチャレンジだ!!


■出光興産の⁠森川さんより

「SPSと相分離しやすいと思われる顔料マスターバッチと色々ファクターをいじって組み合わせてやってみましたが、結局、何をやっても熱履歴を受けると案外混ざり合ってしまうようで、思うようなマーブルはできませんでした……。ピンク系と白系をコンビネーションした色調では、一瞬できたように思いましたが、ロングラン成形するとやはり混ざってしまいました」
⁠⁠
⁠(次回へ続く)

編集部より:「ひらめき開発室」は架空の部署です。出光興産に実際にある部署ではありません。