白って200色あんねん――バイオプラドタバタ劇場【成形色編 その2】 :メーカー生産技術だったママのよもやま話

2025年11月05日

コラム

製造業ライターのおりも みかです。以前はプラスチック製玩具メーカーで生産技術・品質を担当していました。「メーカー生産技術だったママのよもやま話」では、主にプラスチック製品の開発時におけるドタバタエピソードや、子育てをしながら日々接するプラスチック製品に関するあれこれをお届けしています。

前回はお米を使ったバイオマス系プラスチックの色が濃いため、どうやっても白っぽい色が出せる気がしない……というお話をしました。

今回はその続編です。さて、悩ましい素材色の問題は乗り越えて、理想の白にたどり着けたのでしょうか。

色がばらつく問題

色も決まり、何とか製品化にこぎつけたこの玩具。売れ行きも好調で、1回当たりの注文数は多くはないものの、コンスタントにリピート注文が入る定番商品となりました。

この玩具はパーツ数が多いので型数が多いため、生産スケジュール的には成形工程に長めの納期を必要とするものの、一度立ち上がった商品のリピートはそれほど大変ではないので、私たちはリピートが入ると金型を置いてもらっている成形工場に連絡をして成形し、組立工場で梱包して……といういつものルーティンをこなしていました。

しかし安心していたある時、社内の出荷前検査部門から連絡が入りました。

「これ、白なんですよね? パーツによって色が違うけど、これは許容範囲なのかい?」

最初の製品は全てのパーツが白色で、カラーバリエーションはありません。私たちは慌てて出荷前検査部門に行って現物を確認しました。すると、同じ白でもなんとなく茶色が濃いもの、白っぽいものと濃淡が確かにあるのです。

例えるなら、ミルクの中にカフェオレが混ざっているというイメージ。ミルクたっぷりカフェオレもあれば、コーヒーが濃いカフェオレもあります。

この製品は主に2つのパーツをリベットで組み合わせて完成しているのです。その前後のパーツの色が違うためちぐはぐになってしまっているものまでありました。

気になるかならないかと言えば……気になる。これはOKかどうかと言われたら……無理かもしれない。私たちはひとまず、組立工場と成形工場に連絡をしました。

積み木の“相方探し”は困難に

組立工場でも色のばらつきがあることには気付いていました。しかしこちらから特に指示がなかったため、通常通り届いたものを、通常通りの手順で組み立てていました。

この製品は普通のプラに比べて色のばらつきが大きいから、「似た色同士を組み合わせて」と言われてもそれはできないのです。

パーツ数が多く、そして納品数は少ない。似た色のペアを探しているだけで手間が増えるし、相方が見つからないパーツのせいで歩留まりが悪くなってしまう。そしてそれを組立工場に丸投げするのは現実的ではありません。私たちは成形工場に向かいました。

本当に白って200色あるんですね

成形工場での聞き取りを経て、私たちはいくつかの問題にぶち当たりました。

  • 注文数が少ないためマスターバッチ(ペレットに固形着色料を混ぜて成形する方法)を使用しているが、混ぜ方によって色にバラつきが出る
  • 型数が多いため、前回注文時に成形して余った分を次回注文時に混ぜていることがある
  • 成形機に長く材料を入れていると材料が焼けて色が濃くなる傾向がある
  • そもそもバイオマス材料のペレットの色が毎回違う

つまり、成形するたびに毎回色が違うと言うのです。なんてこった。

「白って200色あんねん」

……とどこかの誰かの声が聞こえた気がしましたが、私たちは頭を抱えました。

前回成形したものと今回成形したものが混ざると色のブレが大きく、特に目立ってしまうため、注文ごとに成形をして、余りは廃棄というルールを定めました。また、材料が焼けないよう成形時に注意をしてもらい、色ブレの許容範囲を定め、成形時の定時検査に色の項目を追加。

そして注文がコンスタントに入るようになったこともあり、材料をマスターバッチからコンパウンド材に変更することにしました。これで混ぜ込み不良による色のばらつきを防ぐことは可能となります。

……が、材料そのものの色が違うという問題は、成形工場ではどうすることもできないことです。その点は材料メーカーに改善を依頼しつつ、営業側には「材料の特性として普通のプラよりも色ムラが激しい」という説明をしていくこととなりました。これも、とてもとても骨の折れるお仕事です。

さらに組立工場には、「パッと見で気付くくらい色が違うものは組み合わせないでほしい」というなんとも歯切れの悪い注意事項を付けることに……。

製品の歩留まりは非常に悪くなりましたが、玩具にしては珍しく長期リピートが続く商品。少しずつ改善を行っていくこととなったのです。

バイオマス材料には、通常のプラスチックとは違う苦労があるのですね。

「⁠バイオプラドタバタ劇場」は、次回も続きます! お楽しみに!

プロフィール



⁠おりも みか
 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
⁠TwitterID;@jilljean0506