
おりも みか 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
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着色が超絶面倒という話――バイオプラドタバタ劇場【成形色編 その1】 :メーカー生産技術だったママのよもやま話
2025年10月22日
コラム

製造業ライターのおりも みかです。「メーカー生産技術だったママのよもやま話」では、主にプラスチック製品の開発時におけるドタバタエピソードや、子育てをしながら日々接するプラスチック製品に関するあれこれをお届けしています。
私は、プラスチック製玩具メーカーで生産技術・品質を担当していました。最近はファストフードでもらえる使い捨てのカトラリーや100円ショップなどでもバイオプラスチックを使用した製品をよく見かけるようになりました。
私が品質担当をしていた頃は、まだこういったバイオマス材料を使ったプラスチックは黎明期。私の会社でも、プラスチック材料メーカーでも全くノウハウを持っていません。そんななかでバイオマスプラスチックを使った玩具開発のドタバタエピソードをご紹介します。今回は色の話!
プラスチックは材料によって色が違う

プラスチックというのはそもそも種類によってかなり色味が違います。クリアなものもあれば、乳白色なものもありますが、中には黄味かかったりオレンジっぽかったり。種類によってかなり色味が変わってきます。
皆さんが見ているプラスチック製品は、多くが着色されているのです。メーカー側から言うと、プラスチックは種類ごとに地の色が違うので、違う種類のプラスチックを組み合わせた製品なのに「全く同じ色にしろ」と言われると正直ちょっと面倒くさい。
材料ごとに着色剤を用意して、その色味が同じになるように調整しなくてはなりません。だから、本当に面倒くさい。
プラスチックは材料ごとに質感も変わってくるので、色の見え方も変わってきます。蛍光灯の下で見たら同じような色だったのに、太陽の下に行ったら違うように見えてNGになったこともあります。やっぱり面倒くさい!
「最終的に塗装したら同じじゃん! なんで成形色そんなにこだわったの!!」
と愚痴をこぼしたくなるときもあります。でも色は少し違うだけで製品イメージに関わるので、大切なものなのです。
色が変すぎる問題

お米由来の「ライスレジン」(出所:PlaBase) 本コラムと写真の製品は関係ありません。
最近展示会などでもバイオマスプラスチックのペレットを見かけますが、若干黄味がかかっているなどやはり完全なクリアや真っ白といったものは少ないように思います。バイオマス系の材料が含まれていると、やはりこの色味というのがネックになってきます。
「材料由来の色」と言えば、なんとなく聞こえはいいのですが、要は「化学的な変質によって生じる色」ということなので、正直言うと、美しい色ではないのです。例えば、お茶の葉っぱを使ったバイオマスプラがキレイなグリーンになるかというと、なりません。というか私の経験上、この手の材料はたいていが「あんまりキレイじゃない茶色」です。
先ほど製品イメージの話をしましたが、木が混ぜ込んであるプラスチックならば茶色でもOKだとは思います。ですが、お茶の葉が混ぜ込んであればグリーン、お米が混ぜ込んであれば白。元の材料をイメージできるカラーが好まれる傾向にあります。ですので、実際の製品でこうした魅力的な色である場合、それはメーカーの努力の証なのです。
つまり∞回テストしました
私が担当したのは、お米を使ったプラスチック材料を使用した玩具でした。お米なので、当然希望は「白」。お米を思わせるカラーにしたいというのが営業の要望でした。一方でお米のバイオプラの色は微妙に透け感のある焦げ茶色。着色料を入れずにためしに成形してみましたが、どう見ても茶色です。
その場にあったドライカラー(粉末状着色剤)の白を混ぜ込んで成形してみましたが、透け感のある茶色が透けない茶色になっただけでした。

「もう黒にしちゃえよ」
と、成形のベテランオペレーターが匙を投げるほど、元の色が濃い茶色なのです。
しかしお米を使ったプラスチックであるというのがこの製品の「売り」なので、お米をイメージした白にすることは絶対に必要なことです。
そこで「どこまで着色料を入れていいのか」「白色の着色料を入れるのではなく、成形したら白っぽくなる着色料」を求め、何度も何度もテストが行われました。
今では白だけでなく、白っぽいピンクやブルーなどのミルクカラーがラインアップされています。しかしここに到達するまでには材料メーカー、塗料メーカー、そして玩具メーカー3社による妥協なき試行錯誤が繰り返されたことは言うまでもありません。
そしてバイオプラスチックの色問題は、これだけでは終わらないのでした……。次回に続きます!!
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