塗装しないクルマが増える? Cybertruck、Cybercab、AMIから考える:ティータイム

2026年11月04日

コラム


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⁠本コラム「ティータイム」では、「自動車×プラスチック×脱炭素」を中核に活動するコンサルティング企業・Tech-Tの高原忠良が、自動車関連の技術やビジネスの話題をお届けします。 

前回は、トヨタ車体「COMS」、トヨタ自動車「C+pod」、Citroën「AMI」、Tesla「Cybercab」など、外板の大部分に樹脂を採用したクルマを紹介しました。

今回はCybercabの前に登場したCybertruckを確認したうえで、両車の違いを比較します。さらに、これまでTech-Tで実車と部品を詳しく観察してきたAMIから、塗装しないクルマづくりの可能性を考えます。

Cybertruckが壊した「クルマは塗装するもの」という常識

Cybertruckで材料屋として真っ先に気になるのが、独特の外板です。一般的な乗用車のように鋼板をプレスして塗装するのではなく、無塗装のステンレス鋼板を外装に採用しています。

当時、筆者は客員教授を務めていましたが、その大学の同僚でステンレス可能の第一人者の先生とともに実車を間近で観察しました。写真で眺めるのとはかなり印象が違います。大きな平面で構成されたボディ、鋭いエッジ、ステンレスそのものを見せる表面。従来の自動車とはかなり異なるクルマづくりです。

塗装を前提としなければ、材料選択だけではなく、ボディのデザインや生産工程についても違った発想ができます。Tech-Tでは、こうした最新EVを実際に観察し、材料や構造、生産技術の視点から調査しています。各種セミナーでも、写真だけでは伝えにくい現物ならではの気付きを紹介しています。

CybertruckとCybercab、狙いは同じ?

Cybertruckが無塗装のステンレス外板であるのに対し、Cybercabは、外板全面が無塗装の樹脂製でした。

ステンレスとプラスチック。材料だけを見れば、まったく違います。ところが「塗装しない」という視点から眺めると、この2台には共通するものが見えてきます。

なぜCybertruckではステンレスだったのに、Cybercabでは樹脂になったのでしょうか。車両に求められる機能、使われ方、デザイン、製造工程まで一緒に考えると、単なる材料置換とは異なるクルマづくりの姿が見えてきそうです。

もっと大胆だったCitroën AMI

AMIは2人乗りの超小型EVです。最高速度45km/hと用途を明確にしたクルマで、外板には無塗装の樹脂を採用しています。しかし、実車を詳しく見ていくと、面白いのは樹脂を使っていることだけではありません。

まず驚くのが部品の共通化です。前後対称、左右対称という大胆な設計によって、ドアアウターは左右共通、バンパーとパネルは前後共通。外装はわずか5種類9点で構成されています。しかもすべて材着、つまり樹脂そのものに色を持たせた無塗装部品です。このため大きく深い梨地状のシボを採用しています。

詳細の分析調査では、まずは、ドア部で耐光・耐候性の実測、分解前にX線による内部観察、さらに切断調査、樹脂材料の添加剤を含めた組成から機械特性まで徹底的に分析しました。無塗装樹脂パネルをクルマに使うということで、ものすごい工夫の塊でした。ここでは分析結果個々のご紹介は割愛します。

筆者もセミナーで、こうした実物の調査結果を題材にして、樹脂外板を材料、成形、構造、表面品質など複数の視点からの解説をしています。写真を見るだけでは分からないことが、部品を切り、測り、分析すると次々に見えてきます。これこそ「現地現物」でクルマを見る面白さです(Tech-Tのセミナーについては記事下のご案内ご覧ください)。

次はロボットも樹脂化?

そして、もう一つ私が注目しているものがあります。ロボットです。

ロボットを見ると、外板の大半に樹脂が使われています。さらに軽量化が求められていけば、対象は外板だけなのでしょうか。

その内側にある骨格についても、CFRPなどの軽量材料を適用する余地があるかもしれません。クルマで培われてきた樹脂外板、成形、接着、CFRPなどの技術は、自動車だからロボットへと拡張されます。

まとめ 次に調べたいのはCybercab

Cybertruckは無塗装ステンレス、AMIは無塗装樹脂。そしてCybercabでも樹脂外板という新しい方向が見えてきました。AMIでは、実際に部品を切断し、内部を観察し、さらに材料まで分析することで、外から眺めているだけでは分からない数多くの工夫が見えてきました。


Tech-Tでは、こうした実車・実部品の調査を続け、その一部を記事や各種セミナーで紹介しています。Cybercabの樹脂外板の詳細観察を計画しています。どのような材料なのか、一緒に観察しましょう。

プロフィール



⁠高原忠良
(たかはら・ただよし) 
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⁠2020 年にTech―T設立。
⁠「現地現物」の精神で部品分解調査や、中国・東南アジア現地取材をもとに、⾃動⾞産業の将来動向まで多領域で情報発信中。
⁠プラスチックや樹脂部品生産や材料の生産・開発に携わる自動車用途プラスチックの第一人者。 
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⁠⁠1980 年、山形大学理学部卒。2008 年、山形大学理工学研究科卒(工学博士)。 
⁠⁠1980~1989 年、新日本無線(現:日清紡マイクロデバイス)。
⁠1989~2012 年、トヨタ自動車。
⁠2012~2018 年、サムスンSDIなどグローバル企業で勤務。 ⁠
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⁠⁠2017-2025年、埼玉工業大学 客員教授など産学両分野で活躍。 
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⁠セミナー・メーカー支援・中国視察ツアー・日経クロステックへの寄稿など幅広く活躍中。ホームページでも各種調査情報を元に、記事や動画を多数掲載 
⁠https://www.tech-t.jp/ 

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