クルマの外板、全部プラスチックでいいんじゃない? Teslaも始めました:ティータイム

2026年10月28日

コラム


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⁠本コラム「ティータイム」では、「自動車×プラスチック×脱炭素」を中核に活動するコンサルティング企業・Tech-Tの高原忠良が、自動車関連の技術やビジネスの話題をお届けします。 

クルマのボディと聞けば、まず鉄板を思い浮かべますよね。 もちろんバンパーや一部のフェンダー、バックドアなどには以前からプラスチックが使われています。でも、「外板を全部プラスチックにしてしまおう」となると、まだ少数派です。 

ところが私は、これまで何台もの「外板ほぼ全部が樹脂製」というクルマを実際に見て、乗って、さらには部品を切って調べてきました。 トヨタ車体「COMS」、Citroën「AMI」、トヨタ「C+pod」などです。 

そして最近、「これは面白くなってきた」と思わせるクルマが登場しました。 

Teslaのロボタクシー、Cybercabです。 

日本は意外にも「全部樹脂」の先輩です 

トヨタ車体 コムス(COMS) 

一人乗りの小さな電気自動車です。トヨタグループのアラコ(後に車体事業は「トヨタ車体」に移管)より「エブリデーコムス」として登場しました。写真の2代目は2012年7月にトヨタ車体から発売されました。車体軽量化と低コストの両立を求められる超小型EVでは、このコムスのように外板を塗装レスの樹脂とするケースが多くあります。Tech-TではCOMSを含む超小型EVを継続的に調査し、外板の樹脂化に注目してきました。

トヨタ自動車 C+pod

こちらも外板のほぼすべてが樹脂製です。

実車を調べると、外板は見切り線から14点のパネルで構成され、白色部は材着、つまり樹脂そのものを白くして塗装を省いた仕様が標準となっていました。光沢のある黒色パネルを組み合わせ、デザイン面でもうまく処理しています。

樹脂外板というと、「安っぽくならないの?」と思われるかもしれません。ところが実車を見てみると、それほど違和感はありません。外板全面が樹脂パネルでありながら、面の見え方やパネル間の合わせなど、外観上の質感にも工夫が感じられました。

最高時速60kmの2人乗りですが、写真のように十分な広さで、楽しい乗り物でした。

樹脂パネルの剛性感を実車でチェックしている筆者

C+pod樹脂外板パネルの調査は、YouTubeのTech-Tチャンネルでお楽しみください。走行シーンもYouTubeのTech-Tチャンネルで紹介しています。
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フランスはもっと割り切っていました

さらに興味深かったのが、フランスCitroënのAMIです。

2人乗りの超小型EVで、最高速度は45km/h。フランスでは一定の条件下で14歳から運転できるカテゴリーの車両です。

私も実際に乗ってみました。こちらもYouTubeのTech-Tチャンネルでご覧ください。

こちらは、次回詳しくご紹介します。

そしてTesla Cybercabもオール樹脂外板、しかも塗装レス

ここまでは、どちらかと言えば超小型EVのお話でした。ところが、その流れにTeslaが入ってきました。ロボタクシー専用車として開発されたCybercabです。

Tech-Tでも展示車を実際に調査しました。ステアリングがありません。アクセルペダルもブレーキペダルもありません。ドアミラーもありません。2人乗りで、最初から人間が運転しないことを前提に設計されたクルマです。

しかし、プラスチック屋として私がもっと気になったのはそこではありません。

なんと、Cybercabも外板がすべて樹脂製なのです。

しかも無塗装です。

Tech-Tの実車調査では、外板全面について無塗装の樹脂製であることを確認し、面質感やパネル端部、部品分割なども観察しました。

狙いは「軽量化」だけではない

ここが今回、いちばんお伝えしたいところです。

COMS、AMI、C+podなどの超小型EVでは、車両重量を抑える意味から外板樹脂化のメリットは非常に分かりやすいものでした。ところがCybercabを見ると、話はもう一段先へ進んでいるように思います。

キーワードは、

「塗装しないクルマ」

です。

TeslaはすでにCybertruckで、外板を無塗装のステンレスとしました。一方、Cybercabでは材料はまったく異なり、無塗装の樹脂外板です。材料は違いますが、私は同じ方向を向いているように感じます。つまり、

「クルマは鉄板をプレスして、塗装して作るもの」という従来の常識そのものを見直しているのではないか」

ということです。

この件も、次回に、CybercabとCybertruckの比較として報告予定です。

プラスチック屋にはチャンスかもしれません

樹脂外板にはもちろん課題があります。大型化すれば、面剛性、寸法精度、熱膨張、耐候性、傷、色合わせなど、考えなければならないことはたくさんあります。一方、従来車でもバックドアなどでは樹脂化がすでに進んでいます。これまでは、「鉄を樹脂に置き換えて、何kg軽くなるか」という議論が中心でした。

しかしCybercabを見ると、もう少し違った見方が必要かもしれません。

「樹脂を使えば、クルマの作り方そのものをどう変えられるか」

です。

軽量化、部品統合、材着、塗装レス、工程削減こうして並べると、プラスチックは単なる金属代替材料ではなく、自動車の製造工程を変える材料になり得ます。

COMS、AMI、C+podで、見えていた小さな流れが、Cybercabによって一気に大きなテーマになってきましたね。プラスチックに長く関わってきた私としては、これからの展開がとても気になります。

そして材料メーカー、成形メーカーの皆さんにとっては、意外に大きなビジネスチャンスになるのではないでしょうか。

「外板、全部プラスチックでいいんじゃない?」

そんな議論が、そろそろ本気で始まりそうです。

プロフィール



⁠高原忠良
(たかはら・ただよし) 
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⁠2020 年にTech―T設立。
⁠「現地現物」の精神で部品分解調査や、中国・東南アジア現地取材をもとに、⾃動⾞産業の将来動向まで多領域で情報発信中。
⁠プラスチックや樹脂部品生産や材料の生産・開発に携わる自動車用途プラスチックの第一人者。 
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⁠⁠1980 年、山形大学理学部卒。2008 年、山形大学理工学研究科卒(工学博士)。 
⁠⁠1980~1989 年、新日本無線(現:日清紡マイクロデバイス)。
⁠1989~2012 年、トヨタ自動車。
⁠2012~2018 年、サムスンSDIなどグローバル企業で勤務。 ⁠
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⁠⁠2017-2025年、埼玉工業大学 客員教授など産学両分野で活躍。 
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⁠セミナー・メーカー支援・中国視察ツアー・日経クロステックへの寄稿など幅広く活躍中。ホームページでも各種調査情報を元に、記事や動画を多数掲載 
⁠https://www.tech-t.jp/ 

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