SPS繊維で面白い服が作れるか
2026年04月07日
コラム

SPSは、自動車の電装部品や食器などで多用されていますが、繊維化もできます。研究や応用がはじまったのが比較的最近なので、まだご存じでない方もいらっしゃるかもしれません。現在は、SPSとポリエステルと交編させた繊維製品が実用化されています。
SPS繊維は、従来の化学繊維と比べてユニークな特性があります。メーカーの方以外にも、アパレル関係の方にもぜひ注目していただきたいです。
機能性とユニークなデザインを両立できる特徴
SPS繊維の魅力は、軽さや乾きやすさ」です。比重は1.04と、一般的な衣料に使われるポリエステルよりも軽量になります。また、水となじみにくい疎水性を持っているため速乾性にも優れています。汗をかいてもすぐに乾き、べたつかず汗冷えしづらいため、スポーツウェアやインナーウェアにも最適です。長距離ランナーの方にもよさそうです。
SPSは熱伝導率が低いので、薄くても高い保温効果を発揮します。現在、この保温性と軽さを活かして、ダウン(羽毛)の代わりとなるSPS中綿の開発も進められています。動物愛護の観点からも優れており、かつ水に強い(疎水性がある)ため、濡れても保温性が下がりにくい次世代の防寒着素材として期待されています。
雪の中で高級なダウンコートを着るのは気が引けるものです。それに防水スプレーは体に良くないため使用する際にも、吸い込まないようにと気を使います。SPSの繊維であれば、素材そのものが撥水性を持つため、環境負荷の懸念や洗濯で効果が落ちる撥水加工を施す必要がありません。
さらに従来のポリプロピレン繊維などは熱に弱くアイロンがけが困難でしたが、SPS繊維は融点が約270℃と非常に耐熱性に優れています。そのため、アイロンがけによるシワ取りや、分散染料を用いた高温での染色、転写プリントなどにも対応可能です。機能性とユニークなデザインを両立した防寒着が作れそうです。

すごく未来の話
SPSには優れた絶縁性があります。小さな電子デバイスを衣服につける、いわゆるウェアラブルデバイスとの相性もよいと考えられます。感電やショートをする心配もなくなるので、衣類からバイタルデータを収集するなどできるようになるかもしれません。
アニメ「PSYCHO-PASS」の世界では、人体や服にホログラムを投影して、別の服や外見へと瞬時に変貌させる「ホロアバター・スーツ」という技術が描かれていました。これは筆者の妄想に近いかもですが、衣服をディスプレイのようにすれば、それに近いことが実現できるのではないかと考えました。そこでSPSの絶縁性が生かせないかと思いました。ちなみに、作中では服そのものを投映していましたが……。
SPSをはじめとするエンジニアリングプラスチックの繊維は、今までの衣類では考えられなかった機能がいろいろ実現できる可能性があり、夢が膨らみます。
読者の皆さん、またはデザイナーの皆さん。もしSPSで作れそうな衣類について、何かおもしろいアイデアがありましたら、編集部にも共有してください。
