おりも みか 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
TwitterID;@jilljean0506
SPS樹脂容器とオーブンレンジでカラメルは作れるのか!?【おいしいレシピ付き】:メーカー生産技術だったママのよもやま話
2025年08月27日
コラム
製造業ライターのおりも みかです。「メーカー生産技術だったママのよもやま話」では、主にプラスチック製品の開発時におけるドタバタエピソードや、子育てをしながら日々接するプラスチック製品に関するあれこれをお届けしています。
ここのところで、メーカーの製品開発における、すこしギスギスした、あんな話(料理研究家と対決)や、こんな話(同僚がやらかす)をお送りしましたので、今回はほのぼの回?ということで、おいしいレシピをお届けします。
私の趣味はお菓子作りとパン作り。SPS樹脂容器では電子レンジのオーブンでも使用可能(※)ということで、レンジとオーブンをフル活用したレシピを考えてみました。
注意* SPS樹脂容器は電子レンジのオーブン機能(電熱式)でのみ使用が可能です。石窯や薪窯など、直火や燃焼式のオーブンでは使用できないのでご注意ください。
カラメルどうやって作るか問題
ところで皆さま、カラメルってどうやって作るかご存じでしょうか。
カラメルはほろ苦さと甘さが魅力。プリンの下に入っているのが一番イメージしやすいですね。実はカラメルの材料は砂糖のみ。通常であれば、お鍋に砂糖を入れて加熱し、砂糖が溶けてドロドロになってきたものをさらに加熱。焦がせば完成です。
カラメルを作ったことのある方なら共感してもらえると思うのですが……。カラメルを作ったあとの鍋を洗うのってすごく面倒なのです。しかも鍋にべったりと残ってしまうのでもったいない。
電子レンジでも作ることができますが、砂糖がしっかり焦げる温度は190℃以上になるため、PPなどの通常のプラスチック容器では作ることができません。電子レンジで作るレシピでは耐熱ガラスの使用が推奨されています。
でも、SPS樹脂なら……できるでしょうか? さっそく検証です!
SPS容器だけで作る! タルト・タタン風(レシピ)
タルト・タタンとは、キャラメリゼしたりんごのタルト。キャラメリゼとは砂糖を焦がすという意味で、りんごにカラメルを絡めて焼き上げたフランス菓子です。
その昔、アップルパイを作ろうとしてリンゴを焦がしてしまったタタン姉妹が、やけくそでそのままタルト生地をかぶせて焼いたのが起源だとか。ですので、しっかりほろ苦いカラメルを作るのがタルト・タタンの肝なのです。
通常の作り方では、鍋を火にかけてカラメルを作り、そこにリンゴを加えて加熱。その上にタルト生地を載せてオーブンで焼き上げます。
日本のオーブンはあまり大きくありませんし、オーブン調理可能なキャセロールなどの鋳物の鍋も日本の家庭ではあまり一般的ではないため、フライパンなどでリンゴをキャラメリゼして、タルト皿に載せてオーブンで焼くというレシピが一般的です。
ですが今回はSPS樹脂の容器だけで作ってしまいます!
<材料>
*タルト生地
- 薄力粉…50g
- アーモンドプードル…25g
- 砂糖…25g
- バター…35g
*カラメル
- グラニュー糖…100g
- 水…大さじ2
りんご…3~4個(今回は小さめのりんごだったので4つ使用しました)
<作り方>
① タルト生地を作ります。薄力粉、アーモンドプードル、砂糖をざっくりまぜ、冷蔵庫から出したバターをちぎって加え、指で擦り混ぜる。ポロポロになってきたらラップで包み、冷蔵庫で冷やす。
フードプロセッサーを持っている方は一気にガーっとやってしまいましょう。これくらいポロポロとまとまってきたらラップにまとめます。
型抜きクッキーではないので、なんとなくまとまっていればOK。フードプロセッサーを持っていない方は手で擦り合わせるようにバターと粉を馴染ませてください。かたまりにならなくても、ラップの上からモミモミするとまとまってきます。
② りんごの皮をむき、8等分のくし切りにする。
③ SPS樹脂製の本体容器にグラニュー糖と水大さじ2を入れてレンジに入れ、600W3分加熱する。
グラニュー糖と水は混ぜなくて大丈夫です。
3分加熱するとグラニュー糖が溶け、ぐつぐつと沸いています。温度は120℃。
ここからさらに加熱し、砂糖を焦がしていきます。様子を見ながら1分ずつ加熱しましょう。今回はさらに2分加熱したところで、うっすら焦げ色が見えてきました。
焦げ色が付いたら、今度は20~30秒とさらにこまめに加熱します。今回は600W30秒加熱しました。
出ました! 207℃!! 砂糖は焦げて香ばしい香りがしています。これでカラメルの準備はOK。
④ カラメルにりんごを加えてざっくりと混ぜ、フタをして600W3分加熱する。
りんごを加えることで温度が下がるので、カラメルはかたまりになりますが、ここからまたレンジで加熱するのでそのままで大丈夫です。
⑤ フタを外してざっくりと混ぜ、さらに600Wで3分、様子を見ながら加熱。
うっかり焦がさないように、様子を見ながら加熱するようにしてみてください。
りんごはまだ火が通り切らず、端が少し透明になってきたくらいでOK。
りんごの水分が出ていますが、問題ありません。
⑥ 冷蔵庫から出したタルト生地を手で伸ばしてりんごの上に載せる。180℃に予熱したオーブンで40分焼く。
※オーブン調理可能なSPS樹脂容器を使用しております。グリルやオーブントースターは使用できませんので、必ずオーブン機能を利用してください。
タルト生地はボロボロで大丈夫! 適当に敷き詰めます。
⑦ 焼きあがったら重しを乗せて粗熱を取り、冷蔵庫でしっかり冷やしたら完成!
べたべたしているので、クッキングシートやラップをした上に重しを載せると良いです。タルト・タタンはアップサイドダウンケーキ。つまり容器をひっくり返して、りんごを上に盛り付けるのが正解です。
しっかりキャラメリゼされたほろ苦いりんごがたっぷり! 大人の味です。クリームやバニラアイスと一緒に食べると至福の味です。
そしてもちろん、今回もSPS樹脂容器は全く変化がありません。207℃のカラメルにも耐えました!! すごい!!!
なお、SPS樹脂容器は直火や電熱線、ガス燃焼などの熱源での加熱は不可です。グリル調理やトースターには使用できませんのでご注意ください。
工程は多く見えますが、お菓子づくりにしては各所適当でも大丈夫なのが魅力。カラメルがべったりついたフライパンを洗う手間もないので気軽に作れます。これからりんごがおいしい季節なので、ぜひチャレンジしてみてください!
こちらもお試しくださいね♪
SPSの耐熱容器でアッツアツのババガヌーシュ風ナスを作ってみた
プロフィール