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SPSの耐熱容器でアッツアツのババガヌーシュ風ナスを作ってみた 【おいしいレシピ有】:メーカー生産技術だったママのよもやま話

2025年07月01日

コラム



⁠製造業ライターのおりも みかです。「メーカー生産技術だったママのよもやま話」では、主にプラスチック製品の開発時におけるドタバタエピソードや、子育てをしながら日々接するプラスチック製品に関するあれこれをお届けいたします。

 

 

SPSの容器は油っぽい食べ物もいけるらしいです

2回に渡って、プラスチックは熱に弱い。食洗機や電子レンジには注意というお話をしてまいりました。しかしそんな折、出光興産の森川さんよりこんなお話をお聞きしました。 

「SPS樹脂の容器って、すごく耐熱性が高くて、油にも強いので、電子レンジでアヒージョを作っても大丈夫なんですよ」
(森川さん)※

「えー!」(おりも)

※出光興産さんによる検証に基づく情報なのですが、読者の皆さんは製品に書かれた注意事項を守ってご使用くださいね。

アヒージョ?  アヒージョってアレですよね。煮えたぎったオイルで口の中をべろべろに火傷しながら食べるスペイン料理、ですよね?(筆者の主観です))。

アヒージョって、これですよね?

 

 

普通、鉄の小さいフライパンとかでしょ? それをプラスチック容器でできるなんて、聞いたことがありません。元プラスチック用品製造メーカー品質・生産技術担当としては聞き捨てなりません。ぜひとも試してみなくては! 

 

 

これがSPS樹脂製容器だ

というわけで、さっそく入手いたしました。こちらが噂のSPS樹脂製の食品用容器です。 

 

 

SPS樹脂製なのは、黒い本体(大容器)と浅い容器(スクウェアデッシュ)、そして丸い穴が開いたマルチプレートです。フタとざる(コランダー)はPP(ポリプロピレン)です。 

見た目は普通のタッパーウェアのように見えますが、プラスチックメーカーからするとさわり心地が違います。食品容器によく使用されるPPやPE(ポリエチレン)などのオレフィン系樹脂は触るとすこしぬめっとするような柔らかさがあるのが特徴です。(※あくまでさわり心地の個人的な印象です) 

SPS(シンジオタクチックポリスチレン)製容器には硬さを感じます。爪で弾くとカンカンと高い音が鳴り、容器自体も薄いように感じます。 

正直な感想を申しますと、不安。本当にこれ、電子レンジかけて大丈夫なやつですか? 

 

 

 

表記を確認しましょう。表記上は一般的なスチロール樹脂(PS)と記載されています。しかし耐熱温度は脅威の230度!  ほ……ほんとに?(疑いのまなざし) 

  

 

  

耳をすませば、「自分、アヒージョやれますッ! やらせてくださいッッ!!」(SPS)という声が聞こえるような気がする。

 

 

元メーカー品質担当なので、取り扱い説明書もチェックします。 

  

あ、はい……。

 

 

この安全マージンを取りつつも、どこかぼやっとした警告文の書き方に品質担当の本音が見え隠れする感じ……覚えがあるよ……。元品質担当者としてシンパシーを感じざるを得ないのですが、今の私は製造業ライターです。ここはひとつ、検証してみましょう。アヒージョとまではいかなくても、オイルたっぷりなレシピを用意しました。 

 

【レシピ】レンジでアツアツババガヌーシュ風!

「ババガヌーシュ」という料理をご存知ですか。 ギリシャを始めとする地中海地方のお料理で、ナスとごまのペーストです。冷たくして食べることが多く、暑い夏にぴったりの爽やかなお料理なのですが、個人的にはナスは油との相性抜群。熱々でトロトロのナスで口腔内を火傷しそうになりながら冷たい白ワインで流し込みたいという欲求を常に抱えておりました。 

というわけで、今回はババガヌーシュをアレンジ! SPS樹脂製容器を使って電子レンジで簡単に作ってみたいと思います。 

 

  

<材料> 

  • ナス…2本
  • にんにく…1片(チューブでもOK)
  • ミニトマト…80gくらい(適当)
  • オリーブオイル…大さじ3~4(もっと多くても!)
  • ねりごま…大さじ2  ※本来はタニヒを使いますが、なければ普通の白ねりごまでOK
  • レモン汁…大さじ1(瓶のレモン果汁でも)
  • 塩…適量

<作り方> 

  

ナスはへたを除いて皮をむき、水に3分ほどさらしてあくを抜く。 

 

  

水を捨て、フタをして電子レンジ(600W)で4~5分加熱する。 

ナスが柔らかくなったら、菜箸などでざっくり割く。 

 

  

火傷に注意してくださいね。 ナスの上にへたを除いたミニトマトを載せる。にんにくのすりおろしとオリーブオイルをたっぷりかけ、フタをして電子レンジ(600W)で3~4分加熱する。 

 

オイルはダバーっとたっぷり回しかけてしまいましょう。 

 

  

ねりごま、レモン汁をかけてざっくりと混ぜ、塩で調味すれば完成! 

 

  

本来、にんにくは生のまま使用するのですが、電子レンジで加熱することで子どもでも食べやすくなり、さらに胃もたれしにくくなります。もっとたっぷり入れても大丈夫です。塩とレモンはしっかり効かせるのがポイント。お好みで加減してください。 

  

  

 

そのままでもおいしいですが、バゲットなどに載せて食べるとさらにおいしいです。 

アツアツを頬張って、キンキンに冷やした白ワインやレモンサワーで流し込みましょう。もちろん冷たくしてもおいしいので、食が細くなりがちな夏場にぜひ試してみてください。 

 

さて、問題のSPS樹脂容器は 

電子レンジから出してすぐの状態の温度を測ったところ、場所によっては100度近い温度を観測しました。かなり熱々の状態です。 

 

  

 

  

90度越えの瞬間は撮影できませんでしたが、内部ではかなりの高温になったことが予想されます。しかし容器には反りも表面の変化も特に見受けられません。 すごい! これは……電子レンジ料理の新しい扉が開かれたかもしれません。 

がんばったね、SPSの容器。

 

  


⁠全ての調理をこの容器1つだけで済むので、洗い物も少なくて済みます。食べ終わったら食器洗い乾燥機で洗うことができますし、まさに革命的な調理器具。 ぜひレシピと共にお試しください。


プロフィール



⁠おりも みか
 新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。
⁠TwitterID;@jilljean0506


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