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自動運転レベル5の時代、運転免許ってどうなるんだろう?:自動車業界よもやま話

2025年03月11日

コラム

⁠コラム「自動車業界よもやま話」では、自動車業界で働く人の視点から、自動車関連のさまざまな話題を取り上げていきます。  

さて、自動運転が実現した未来はどのようになっているのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

多くの場で議論されているテーマであり、明確な結論が出ていないのが現状です。そこで、一人のエンジニアの意見として、「自動運転レベル5が実現した場合」には、どのような状況になるのかについて考えてみます。
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⁠自動運転車に運転免許は必要なのか

自動車を運転するためには、運転する車両や用途に応じて免許が必要です。道路交通法を把握し、必要な運転技量を保有している人のみ自動車を運転できるようにすることを目的としています。自動運転レベル5が実現した場合、基本的には運転に関わる全ての操作を自動運転システムが担うため、自動運転車の運転には従来同様の運転免許は不要という考え方が多いのではないでしょうか。 

私も同様に、現状の運転免許と同等のものは必ずしも必要ないと考えています。ただし、現在の運転免許がなくなるわけではなく、自動運転車用の運転免許証が新設され、自動運転車を利用する際には専用の免許が必要になるでしょう。運転技術は不要かもしれませんが、最低限の交通ルールや自動運転車の仕組み、操作方法、日常点検の方法、救護処置方法などは把握しておく必要があります。 

また、普通免許は現在、18歳以上から※1取得できます。自動運転車専用の免許は運転者(ユーザー)に求められる運転技術や責任の変化により、18歳ではなく、普通二輪免許などを取得できる16歳以上になるのではないでしょうか。 

※1:普通仮免許等の年齢要件は、今後17歳6カ月に引き下げられる予定 

自動運転車以外の自動車はなくなるのか? 

いつになるか想定できないくらい先の話かもしれませんが、自動運転レベル5の車両が広く普及した場合、ドライバーが主体となる自動運転レベル2以下の車両は残るのでしょうか? 特に、ドライバーとして自動車を操るのが好きな方、サーキットだけではなく一般道の景色が良い場所などを自分でドライブするのが好きな方は、気になるのではないでしょうか。 

既にコンセプトカーとしても公開されているように、自動運転車の多くは通常の操作系(ステアリングやシフト、ペダルなど)を持たない状態になるでしょう。一方で、ドライバーが運転できる自動車も一定数は残ると考えられます。ただし、販売台数は少なくなるので価格がかなり高くなるかもしれません。また、公道の中でも運転できる場所、もしくは環境が限られるのではないでしょうか?(運転できる場所までの移動は自動運転が必要と想定)。 

おそらく、その頃には車々間通信や路車間通信があることが前提で制御が組み込まれていると考えられます。人の思考が入らないことでスムーズな移動ができる環境の中に、人が運転する自動車が入るのは望ましくありません。路車間通信が行われないような場所、もしくは一定範囲内の車両台数が少なく車々間通信が十分に発揮されない環境のみ、ドライバーは自動車を運転できるようになると考えます。 

自動運転車による未来について、皆で話そう

今回は、運転免許、ドライバーが運転する自動車をテーマに、自動運転車が普及した未来について考えてみました。まだどうなるか定まっておらず、いろいろな場で議論がされています。同僚や家族とこのような議論をすることで、新たな技術開発のアイデアが生まれてくることもありますので、楽しみながら議論してみてはいかがでしょうか。


プロフィール



⁠⁠一之瀬 隼(いちのせ・しゅん) 自動車部品メーカーの現役エンジニアとして、CASE関連の製品開発を担当。2020年春より、製造業関連のライターとして活動。
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